
ストラッチャテッラ・アッラ・ロマーナ — パルメザン入りローマ風かきたまスープ
ストラッチャテッラ・アッラ・ロマーナは、ローマの卵のスープです。熱い鶏やほかの肉のブロスに、溶き卵と削ったパルミジャーノを合わせたものを注ぎ、絹のように細かな卵の「切れ端」を作ります。イタリア版のかきたま汁とも言えますが、日本や中国のかきたま汁がでんぷんでとろみをつけるのに対し、こちらは澄んだまま、汁と具がはっきり分かれた姿を保ちます。コクは卵とチーズそのものから生まれます。日本の読者には、まさにかきたま汁の親戚だと感じられるはずです。溶き卵を熱い汁へ細く落とし、ふわりと散らす手つきも、体調の悪い日に家族が作ってくれる一杯という位置づけも同じです。違いはパルミジャーノが入ることと、とろみをつけないことです。名前はイタリア語で「ぼろ布、小さな布切れ」を意味する言葉に由来します。溶き卵が静かに沸くブロスに落ち、無数の小さな雲のように散る様子そのものです。ローマの、そして中部イタリア全体、とりわけマルケ州とアブルッツォ州の第一の皿として親しまれてきました。貧しい農家の食卓から生まれた料理ですが、今では復活祭やクリスマスの祝いの席を開く一杯にもなっています。技術で重要なのは火加減だけです。ブロスは静かに沸く状態を保ち、決して煮立ててはいけません。煮立てると卵は塊になり、なめらかな切れ端になりません。卵液は回っているブロスへ細く注ぎ、一方向に混ぜます。本来のローマ式にセモリナ粉は入りません。あれは北部の変形で、切れ端を糊に変えてしまいます。塩は最後に。パルミジャーノ自体に塩気があるからです。材料は四つ、およそ15分で仕上がります。すぐに供し、オリーブオイルとこしょう、パセリを添えてください。
材料
- 1 l鶏のだし
- 2 卵
- 40 gParmigiano-Reggiano
- 1 つまみナツメグ
- ½ 小さじ黒胡椒
- 1 大さじパセリ
- 1 大さじエクストラバージンオリーブオイル
作り方
- ブロスを静かに沸く状態にします。質のよい鶏または肉のブロス約1リットルを鍋に入れ、中火で温めます。ふちに小さな泡が立ち、表面はほとんど動かない状態が目安です。材料がごく少ないぶん、ブロスの質がそのまま料理の質になりますので、できれば手作りのものを使ってください。卵を入れる直前に火を最小にします。煮立てることだけが、この料理を台無しにする要因です。
- 卵液を用意します。ブロスを温めているあいだに、ボウルに卵2個を割り入れ、細かく削ったパルミジャーノ40gと、挽きたてのナツメグひとつまみ、黒こしょう数回分を加えます。完全になめらかで均一になり、粒が残らなくなるまでよく混ぜてください。常温の卵のほうがきれいに混ざります。塩はまだ加えません。パルミジャーノで十分な塩気が入るので、最後に調整します。
- 卵液を注ぎ、一方向に混ぜます。ブロスがもっとも弱く沸いている状態で、卵液を細く、ゆっくりと鍋に注ぎます。同時に泡立て器か木べらで、ブロスを一方向に混ぜ続けてください。卵は熱いブロスに触れた瞬間に固まり、この料理の名前の由来である切れ端になります。最初は濁りますが、火が入るにつれて澄んでいきます。
- 好みの舌ざわりを選びます。泡立て器で力強く混ぜれば、細くふんわりした卵の筋になり、汁はやや濁ります。木べらでゆっくり混ぜれば、大きめで柔らかな卵の片になります。どちらも正解で、好みの問題です。そのまま1-2分静かに火を入れて卵に完全に火を通しますが、決して煮立てないでください。
- 味を調えて供します。味をみて、必要なときだけ塩を足します。チーズの塩気を忘れないでください。熱いうちに器へ注ぎ、仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを回しかけ、黒こしょうを挽き、刻んだパセリを散らします。好みで削ったパルミジャーノを足しても構いません。パセリはこの瞬間、供するときだけに加えてください。煮ているあいだに入れると汁が濁ります。すぐに供します。この料理は待ってくれません。
よくある質問
熱い肉または鶏のブロスに、溶き卵と削ったパルミジャーノを合わせたものを注ぎ、絹のように細かな卵の切れ端を作るローマの卵のスープです。イタリア版のかきたま汁と言えますが、でんぷんでとろみをつける東アジアの汁物と違い、澄んだまま汁と具がはっきり分かれた姿を保ち、コクは卵とチーズから生まれます。日本の読者には、まさにかきたま汁の親戚であり、体調の悪い日に家族が作ってくれる一杯だと感じられるはずです。名前。 イタリア語で「ぼろ布、小さな布切れ」を意味する語に由来します。溶き卵が沸いたブロスに落ち、布を裂いたような無数の小さな雲になって散る様子そのものです。混同に注意。 イタリアでは同じ言葉が、チョコレートの細片が入ったジェラート(こちらの切れ端はチョコレートです)、ブッラータの柔らかな中身、そしてローマの薄切り肉料理も指します。現地で注文するときは言い添えてください。歴史と位置づけ。 ローマの伝統料理であり、中部イタリア全体、とりわけマルケ州とアブルッツォ州の第一の皿です。貧しい農家の食卓から生まれながら、今では中部イタリアのもっとも大切な祝日、復活祭やクリスマスの食卓を開く一杯として欠かせません。軽く、温かく、滋養があり、胃にやさしい、まさに慰めの料理です。多くのイタリア人が、風邪や咳のはじめに祖母が作ってくれた「治す一杯」として記憶しています。近い料理。 エミリア・ロマーニャにはパン粉を加えてより濃厚にした天国のスープが、ラツィオの帝国のスープやマルケの王室のパスタには卵とセモリナ粉の生地を焼いて角切りにし、ブロスに入れる形があります。パッサテッリも同じ系統で、シチリアにはさらに手の込んだ肉団子入りの一杯があります。
基本形の材料は 四つだけ です。ブロス、卵、削ったパルミジャーノ、こしょう。4人分の目安: 質のよい鶏または肉のブロス約1リットル(4カップ)、卵2個。目安は ブロス2カップ、およそ500mlにつき卵1個 で、腹持ちよくしたいなら一人1個ほど。卵1個につき削ったパルミジャーノ30-40g、卵2個ならおよそ三分の一カップです。好みで加えるもの: ナツメグひとつまみ、挽きたての黒こしょう、削ったレモンの皮(ラツィオやマルケの土地の風味)、仕上げの刻みパセリ。セモリナ粉は必要か。本来のローマ式には決して入れません。 セモリナ粉は 北部の変形 で、繊細な切れ端を糊のような舌ざわりに変えてしまいます。本物のローマのストラッチャテッラに セモリナ粉は入りません。持ち味は卵とチーズの筋そのものだからです。セモリナ粉を使うのは別の料理で、エミリア・ロマーニャのパン粉入りの天国のスープ、あるいは焼いた卵生地を使う帝国のスープや王室のパスタがそれにあたります。同じ系統ではありますが、別物です。ブロスの選び方。 材料が四つしかないので、ブロスの質がすべてを決めます。手作りの鶏や肉のブロスは、市販品では出せない深みを与えます。市販品を使うなら、いちばん質のよいものを選んでください。塩。 最後に、控えめに。パルミジャーノですでに塩気が入っており、入れすぎやすい料理です。チーズ。 本物のパルミジャーノを、なめらかに溶けるよう細かく削って使います。ペコリーノを少し足して旨みを増す人もいますが、古典は純粋にパルミジャーノだけです。
ここがこの料理で唯一技術を要する場面であり、失敗のほとんどもここで起きます。最優先の規則は、ブロスを静かに沸かし、決して煮立てないことです。 煮立ったブロスでは卵が瞬時に塊になり、汁の中の炒り卵ができてしまいます。ブロスは「ほとんど動かない」状態、つまりふちに小さな泡が立ち、表面はほぼ静かなままが目安です。卵液を入れる直前に火を最小にしてください。手順。 まずブロスを静かに沸く状態にし、火を最小に落とします。次にボウルで卵を、削ったパルミジャーノ、こしょう、好みでナツメグやレモンの皮とともに、粒が残らず完全になめらかになるまで混ぜます。常温の卵のほうがよく混ざります。それから ゆっくりと 卵液を細くブロスへ注ぎ、同時に一方向へブロスを混ぜ続けます。泡立て器でも木べらでも構いません。卵は熱いブロスに触れた瞬間に固まり、切れ端になります。舌ざわりは好みで。 力強く混ぜれば 細い筋 になり、ふんわりした口当たりに。木べらでゆっくり混ぜれば 大きめで柔らかな片 になります。仕上げにそのまま1-2分火を入れます。最初は濁りますが、火が入るにつれて澄んでいきます。よくある失敗。 火が強すぎると炒り卵になり、卵液を一度に入れて混ぜないと大きな塊ができ、煮ているあいだにパセリを入れると濁ります。パセリは供するときだけに。修正法。 残りを温め直して塊ができたら、木べらでほぐし、再び煮立てないでください。
卵のスープは多くの食文化にありますが、ストラッチャテッラは技術も味も独特です。東アジアのかきたま汁との違い。 東アジアの汁物はしばしば でんぷんでとろみをつけ、より濃く、なめらかな口当たりにしたうえで、溶き卵を回っている汁へ細く落とします。イタリアのストラッチャテッラは 澄んだまま、汁と具がはっきり分かれた姿を保ちます。とろみはつけず、コクは卵と 削ったパルミジャーノ から生まれます。このチーズこそが決定的な違いで、塩気とナッツのような深みを加えます。インドの卵スープとの違い。 インドの形はしばしば トマト と香辛料を加えます。ギリシャの卵レモンスープとの違い。 ギリシャでは レモン汁と合わせた生卵 を、少しずつ温めながら汁に混ぜ込み、固まらないクリーム状の口当たりにします。あちらでは卵は切れ端にならず、汁をビロードのようにとろませる役目です。ストラッチャテッラはその逆で、意図的に卵を筋に固めます。イタリア国内の親戚との違い。 エミリア・ロマーニャの天国のスープはパン粉が入りより濃厚で、帝国のスープや王室のパスタは卵とセモリナ粉の生地を焼いて角切りにしてから入れるので舌ざわりがまったく異なります。パッサテッリは卵とチーズとパン粉の生地を押し出して小さな棒状にし、シチリアの一杯は肉団子とリコッタが入るさらに複雑な料理です。決め手。 澄んだブロスと卵とパルミジャーノで細かな切れ端を作るという組み合わせ、つまりとろみもセモリナ粉もレモンも使わない点が、この料理を唯一のものにしています。世界でもっとも簡素で純粋な卵のスープ、器の中のローマです。
これは今この瞬間のための料理で、供し方にもそれが表れます。供し方。 まず すぐに、熱いうちに。この料理は待ってくれません。器に注ぎ、エキストラバージンオリーブオイルを回しかけ、挽きたてのこしょうと刻んだパセリを散らし、好みで削ったパルミジャーノを足します。次に、肉の主菜の前の 第一の皿 として。とくに復活祭の子羊の前に向きます。軽いので主菜の余地を残してくれるからです。あるいは、食欲のない日や体調のすぐれない日の軽い夕食としても。日本の読者にとっては、胃を温める一杯としても心強い料理です。保存。 冷凍はおすすめしません。 作りたてがいちばんです。残りは蓋つきの容器で冷蔵1日まで。温め直すと卵が塊になりますので、木べらでほぐし、温めるだけにして再び煮立てないでください。煮立てると卵がゴムのようになります。バリエーション。 ひとつめは ベジタリアン版 で、鶏のブロスを質のよい野菜のブロスに替え、微生物由来または植物性の凝乳酵素で作られたパルミジャーノを選びます。ふたつめは 葉物を足す形 で、柔らかい黒キャベツやほうれん草を加えます。黒キャベツは先に柔らかく煮て、ほうれん草は仕上がりの30-60秒前に。三つめは 小さなパスタ入り で、星形やディタリーニを加えると腹持ちのよい一杯になり、イタリアの子どもにとっての病気のときのスープになります。四つめは レモン風味 で、卵液にレモンの皮を多めに入れ、最後に果汁を数滴絞る、ラツィオやマルケの明るい形です。五つめは ペコリーノを使う形 で、パルミジャーノの一部を置き換えると塩気と旨みが強まります。合わせるもの。 クラッカーのような薄いパン、ラツィオのフラスカーティのような軽い白ワイン、あるいはそのままで。自足した、癒しの一杯です。大切なこと。 簡素であること。手を加えすぎないでください。この料理の美しさは、その最小限にこそあります。
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