
ヴィシソワーズ — 冷たいフランス風ポロネギとじゃがいものクリームスープ
ヴィシソワーズは、ポロねぎとじゃがいも、生クリームで作る冷たくビロードのようなポタージュで、よく冷やして刻んだシブレットを散らして供します。要はフランスの定番であるポロねぎとじゃがいものポタージュ、ポタージュ・パルマンティエを冷たくし、クリームで仕上げた一皿です。日本の読者には、夏の冷たいスープの一種として受け止めていただくとわかりやすいと思います。ただし、さっぱりした酸味系ではなく、乳の香りが濃くしっかりと満たされる、冷えたポタージュです。この料理の面白いところは、名前も出自もフランスなのに、冷たい形はアメリカで生まれた点にあります。フランス人料理長ルイ・ディアが1917年、ニューヨークのリッツ・カールトンで客のために考案しました。着想のもとは、フランス中部の温泉町ヴィシー近郊で母と祖母が作っていたポロねぎとじゃがいものスープです。幼いころ、兄と一緒に熱いスープへ冷たい牛乳を注いで冷ましていたそうです。夏のメニューを考える際にその記憶をよみがえらせ、クリームで豊かにし、冷やして供し、「冷たいヴィシー風クリームスープ」と名づけました。これはディアのもっとも有名な一皿となり、ジュリア・チャイルドの愛したスープでもあります。出来を決めるのは二点、象牙のような淡い色と、ビロードのような舌ざわりです。ポロねぎは色をつけずに蒸らし、乳白色を守ります。使うのは白と淡い緑の部分だけ。でんぷんの多いじゃがいもが、粉を使わないなめらかさを生みます。仕上げは徹底的に攪拌し、古典的には裏ごしします。冷たさは味覚を鈍らせるので、味つけは大胆に。冷蔵庫で4時間以上冷やしてから、よく冷えた状態でシブレットを散らして供します。作業時間はおよそ45分、そのあと冷やします。
材料
- 4 ポロネギ
- 3 じゃがいも
- 1 l鶏のだし
- 200 ml生クリーム
- 50 gバター
- 2 大さじチャイブ
- 1 小さじ塩
- 0.25 小さじ白胡椒
作り方
- ポロねぎを洗って切ります。ポロねぎ4本の濃い緑の先端と根を落とし、白と淡い緑の部分だけを残します。濃い緑は苦く繊維も多い部分です。まず縦半分に切ってから小口に切り、流水で層を開きながら洗ってください。土は葉の重なりのあいだに入り込んでいます。よく水気をきります。ここでの洗い方が、なめらかなスープと砂を噛むスープの分かれ目になります。

- 色をつけずに蒸らします。厚手の鍋にバター50gを弱めの中火で溶かします。切ったポロねぎと塩ひとつまみを入れ、蓋をして10-15分、ときどき混ぜながら穏やかに蒸らし、柔らかく半透明になるまで、けれども決して色づかせないようにします。これがこの料理の要です。スープは象牙色でなければならないので、ポロねぎを焼き色づけてはいけません。色づきはじめたら火を弱め、ごく少量の水を加えてください。

- じゃがいもとブロスを加えます。でんぷんの多いじゃがいも3個(男爵系やインカのめざめのような粉質のもの)の皮をむき、火通りをそろえるため小さめに切ります。鶏のブロス約1リットルとともに鍋へ入れ、野菜がかぶるくらいにします。煮立てたら弱火にし、蓋を少しずらして20-25分、じゃがいもが完全に柔らかくなり、ナイフがすっと通るまで煮ます。
- なめらかに攪拌します。少し冷ましてから、ハンドブレンダーかミキサーで完全になめらかになるまで攪拌します。本当にレストランのような舌ざわりにしたいなら、ピュレを目の細かい円錐こし器で裏ごしし、ポロねぎの繊維をすべて取り除いてください。これが家庭のスープとホテルのスープを分ける工程です。とろみはじゃがいものでんぷんから生まれるので、粉は一切必要ありません。

- 生クリームを混ぜて冷やします。ベースを冷ましてから、生クリーム200mlを混ぜ入れます。塩と白こしょうで味を調えてください。黒ではなく白を使うのは、淡い色のスープに黒い点を残さないためです。蓋をして冷蔵庫で最低4時間、できれば一晩、しっかり冷えるまで置きます。急ぐときは氷水にあてて混ぜてください。冷やすあいだにじゃがいものでんぷんでとろみが増すので、冷たいブロスか牛乳で好みの濃度に伸ばします。
- 大胆に味を調えて供します。冷たい状態で味をみて塩を調整してください。低温は味覚を鈍らせるので、このスープは温かいときに感じる以上の味つけを必要とします。思っているより大胆にどうぞ。冷やした器に注ぎ、刻んだシブレットを散らし、好みで生クリームをひと筋回しかけます。よく冷やして、夏の上品な前菜として供します。蓋をして冷蔵で3-4日もちますが、冷凍はしないでください。クリームとじゃがいもが分離して、ざらついた口当たりになります。
よくある質問
ヴィシソワーズは、ポロねぎとじゃがいも、生クリームで作る冷たくビロードのようなポタージュで、よく冷やして刻んだシブレットを散らして供します。要はフランスの定番であるポタージュ・パルマンティエ、つまりポロねぎとじゃがいものスープを冷たくしてクリームで仕上げたものです。日本の読者には、夏の冷たいスープの遠い親戚と考えていただくとよいでしょう。出自の逆説。 名前も原型もフランスのものですが、冷たい形はアメリカで生まれました。フランス人料理長 ルイ・ディア が1917年、ニューヨークのリッツ・カールトンで客のために考案したのです。着想のもとは、フランス中部の温泉町 ヴィシー の近くで母と祖母が作っていたポロねぎとじゃがいものスープでした。夏になると兄とともに、熱いスープへ冷たい牛乳を注いで冷ましていたそうです。夏のメニューを組むときにその記憶をよみがえらせ、クリームで豊かにし、冷やして供し、ヴィシーにちなんで「冷たいヴィシー風クリームスープ」と名づけました。評価。 これはディアのもっとも有名な一皿となり、1957年の追悼記事にまで登場しました。20世紀を通じて高級料理の看板であり続け、ジュリア・チャイルド の愛したスープとして『フランス料理をマスターする』にも収められています。異説。 1859年に料理人ジュール・グフェが考案したという説や、毒味を待つあいだに冷めたじゃがいものスープを国王ルイ15世が口にしたという話もありますが、もっとも確かなのはルイ・ディア、1917年です。祖先。 ポタージュ・パルマンティエは、かつて有毒と思われていたじゃがいもをフランスに広めたアントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエにちなむ名です。
このスープは四つの要素で成り立ちます。ポロねぎ、じゃがいも、ブロス、生クリームです。6人分の目安: 大きめのポロねぎ3-4本(白と淡い緑の部分のみ)、でんぷんの多いじゃがいも2-3個、鶏のブロス約1リットル、乳脂肪の高い生クリーム200-250ml、バター50g、仕上げに刻んだシブレット。ポロねぎの扱い。 まず 白と淡い緑の部分だけ を使います。濃い緑の葉は苦く繊維も多いためです。次に よく洗うこと。土は葉の重なりに入り込んでいるので、縦に割って流水で洗ってください。辛みを足したい方は玉ねぎを少し加えても構いません。ジュリア・チャイルドは玉ねぎで代用することも認めていますが、古典はあくまでポロねぎです。じゃがいもの選び方。 でんぷんの多い 粉質の品種を選びます。でんぷんがビロードのような舌ざわりを生むので、粉やとろみ剤は必要ありません。新じゃがのような粘質のものでは同じなめらかさは出ません。ブロス。 古典は鶏のブロスで、ディアもそうしていました。ベジタリアン向けには質のよい野菜のブロスを使います。クリームか牛乳か。 ディアは幼いころ牛乳を使っていましたが、レストランの形では乳脂肪の高い生クリームで豊かさを加えています。軽くしたいときは牛乳とクリームを合わせてください。不要なもの: 小麦粉、でんぷん、質の悪いブイヨン。なめらかさはじゃがいもとクリームだけで足ります。
このスープの出来は二点で決まります。淡い色 と ビロードのような舌ざわり です。色をつけない理由。 仕上がりは象牙に近い 乳白色 であるべきです。ポロねぎに焼き色がつくと茶色い斑点とカラメルの風味が入り、繊細な色も味も損なわれます。ですからポロねぎはバターで弱火、蓋をして10-15分 蒸らします。柔らかく半透明になるまで、けれども決して焦がさずに。色づきはじめたら火を弱め、ごく少量の水を加えてください。なめらかさの作り方。 ひとつめはじゃがいもを大きすぎない大きさに切ること。火通りが速く均一になります。ふたつめは野菜を完全に柔らかくなるまで煮ること。ナイフがすっと通るまで20-25分が目安です。三つめは 徹底的に攪拌すること。ハンドブレンダーでもミキサーでも構いません。四つめが決定的で、目の細かい円錐こし器で裏ごしし、ポロねぎの繊維や粒を取り除きます。これが家庭のスープとホテルのスープを分けます。五つめは、攪拌のあとにクリームを混ぜることです。味つけの要点。 冷たさは 塩や味の感じ方を鈍らせます。ですから冷えたヴィシソワーズは、温かいときにちょうどよいと感じる量より大胆な味つけを必要とします。冷やしたあとにもう一度味をみて塩を足してください。修正法。 冷やして濃くなりすぎたら、じゃがいものでんぷんのせいですから、供する前に冷たいブロスか牛乳で伸ばします。
冷たくです。そこがこの料理の本質です。 もとの名前にも「冷たい」という語が入っています。よく冷えた状態 で供してこそ、あの冷たくビロードのような乳の風味が生き、多くの人の記憶に残る体験になります。アンソニー・ボーデインは『キッチン・コンフィデンシャル』で、本当に記憶し楽しんだ最初の一皿としてヴィシソワーズを挙げ、冷たく、おいしく、意外なほど冷えていたと書いています。温かくしてもよいのか。 技術的には可能で、それはそれでおいしい温かいポロねぎとじゃがいものスープになります。ただし 温かい形は本質的にポタージュ・パルマンティエ、あるいは家庭風のポロねぎとじゃがいものスープ であって、ヴィシソワーズではありません。この料理は冷たさとクリームによって定義されます。ポタージュ・パルマンティエとの違い。 ひとつめは 温度 で、ヴィシソワーズは冷たく、パルマンティエは通常温かいものです。ふたつめは クリーム で、ヴィシソワーズには必ず入りますが、基本のパルマンティエにはなくても成立します。三つめは 舌ざわり で、ヴィシソワーズは古典的に裏ごしして完全になめらかにし、パルマンティエは粗くても、ときに具が残っていても構いません。四つめは 供し方 で、ヴィシソワーズには必ず刻んだシブレットが乗ります。近い料理。 家庭風のポロねぎとじゃがいものスープは同じ材料の素朴な形で、ディアが与えた正式名が「冷たいヴィシー風クリームスープ」です。冷たい親戚。 精神のうえでは、ガスパチョをはじめとする夏の冷製スープの遠い縁者ですが、こちらは乳の香りが濃く、さっぱりした酸味系ではありません。見分け方。 冷たく、クリームが入り、裏ごしされていればヴィシソワーズ。温かく、より素朴ならポタージュ・パルマンティエです。
冷やす工程は避けて通れません。 攪拌してクリームを混ぜたら、最低4時間、できれば一晩 冷蔵庫で冷やし、本当に冷たく、味がなじんだ状態にします。急ぐときはボウルを氷水にあてて混ぜてください。供し方。 まず冷やした器に注ぎます。器を15分ほど冷蔵庫に入れておくのは効果的な工夫です。次に欠かせないのが上に散らす 刻んだシブレット。そのほか、生クリームかオリーブオイルをひと筋、白こしょうを挽き(黒だと淡い色に点が残ります)、ナツメグをひとつまみ加えても構いません。夏の上品な前菜として、あるいは献立の最初の一皿としてどうぞ。日本の読者なら、冷たいお茶を添えるのもよく合います。保存。 蓋をして冷蔵で 3-4日 もち、作り置きに向いた料理です。冷凍はおすすめしません。 解凍するとクリームとじゃがいもが分離してざらつきます。供する前によく混ぜ、分離していれば冷たいブロスや牛乳で伸ばし、塩を足してください。バリエーション。 ひとつめは ベジタリアン版 で、鶏のブロスを野菜のブロスに替えます。ふたつめは 軽い版 で、クリームの一部を牛乳や全脂肪のヨーグルトに替えます。三つめは 緑を足す版 で、攪拌時にクレソンかソレルをひと握り加えると色と香りが立ちます。四つめは 温かい版 で、ポタージュ・パルマンティエとして冬に。五つめは ヴィーガン版 で、ココナッツやオーツの植物性クリームと野菜のブロスを使いますが、味ははっきり変わります。合わせるもの。 クルトン、サンセールやシャブリのような冷えた辛口白、あるいは暑い日にはそのままで。大切なこと。 本当に冷たく、大胆に味をつけて供すること。ぬるかったり塩が足りなかったりすると、この料理の魅力はすべて消えてしまいます。
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