
ナポレオンパイ(苺のミルフィーユ)
ナポレオンパイは、苺のミルフィーユのことです。サクサクのパイ生地3層の間に、冷やしたカスタードクリーム、ホイップクリーム、生のいちごを重ねます。お店では「苺のミルフィーユ」の名前でも売られていて、同じお菓子を指しますが、パイ生地そのものはフランスのもので、苺のミルフィーユをナポレオンパイと呼ぶのは日本での言い方です。1966年に銀座で開店したマキシム・ド・パリは、この名前で苺のミルフィーユを売っていました。この家庭向けのレシピでは、自家製の生地ではなく150gの冷凍パイシート1枚から4個分を作ります。お店によっては側面にローストしたスライスアーモンドをつけたり、マキシムではカスタードにオレンジリキュールを入れたりしますが、ここでは使いません。作り始めから仕上げまでは約1時間半で、そのうち1時間はパイを焼いている間にカスタードクリームを冷やす時間です。
ナポレオンパイとは?
ナポレオンパイは、いちごを使ったミルフィーユです。フランスの標準的なミルフィーユは、パイ生地3層とカスタードクリーム2層を重ね、上面に粉砂糖をふるかフォンダンを塗ります。日本でナポレオンパイとして売られているものは、生のいちごが入り、ホイップクリームも入ることが多いです。日本のメニューでは、同じお菓子が苺のミルフィーユと書かれていることもあります。
パリのレストランの銀座店だったマキシム・ド・パリは1966年に開店し、苺のミルフィーユをナポレオンパイの名前で売り、のちに苺のミルフィーユと名前を改めました。1970年代からは、レストランの洋菓子店の看板商品になり、洋菓子店は2015年にレストランとともに閉店しました。日本で最初にこの名前を使ったのが誰なのかは、私たちが見つけたどの資料にも記録がありません。2023年と2025年のプレスリリースによると、KIHACHIはいちごの季節ごとにナポレオンパイを作り、アマンドは東京駅でナポレオンパイの店を営んでいます。作り方はお店ごとに同じではありません。側面にローストしたスライスアーモンドをつけるお店もあれば、アマンドのようにカスタードをパイの層の間にだけ入れて、いちごを上にのせるお店もあります。
ロシアのナポレオン・ケーキと混同しやすいのですが、あちらは薄い層をたくさん重ねてカスタードを塗り、一晩おいてやわらかくなるまでなじませます。ナポレオンパイはその逆で、パイのサクサク感を保つために食べる直前に組み立てます。
ナポレオンパイの食べ方
組み立てたら、すぐに食べてください。2015年にマキシムが閉店したとき、並んでいたお客さんがJ-CASTの記者に、パイのサクサクした食感を味わってほしいから、その日のうちに食べるように言っていました。それは家庭で作ったものでも変わりません。
すぐに食べられないときは冷蔵庫に入れておき、室温には2時間より長く置かないでください。
材料
- 200 ml牛乳
- 2 個卵黄
- 50 g砂糖
- 20 g薄力粉
- 0.5 小さじバニラエクストラクト
- 150 g冷凍パイシート
- 10 g粉砂糖
- 100 ml生クリーム
- 150 gいちご
作り方
- カスタードクリームを作ります。中くらいのボウルに卵黄2個と砂糖40gを入れ、白っぽくなるまで泡立て器で混ぜ、薄力粉20gをふるい入れて混ぜ込みます。小鍋に牛乳200mlを入れて中火にかけ、湯気が立って縁に小さな泡が出るまで温めます。熱い牛乳を少しずつ卵黄に注ぎながら混ぜます。こうすると卵黄が少しずつ温まり、ダマになりません。生地を漉して小鍋に戻し、中火にかけて絶えず混ぜながら、とろみがついて大きな泡がはじけるまで炊き、そこからさらに1分混ぜて卵にしっかり火を通します。ツヤが出て、泡立て器で跡が残り、泡立て器から糸ではなくぽってりとした塊になって落ちれば完成です。火から下ろし、バニラエクストラクト小さじ½を混ぜます。

- カスタードクリームを冷やします。約15×20cmの浅い容器に移し、表面にぴったりラップをかけて、冷蔵庫で1時間冷やします。ラップが表面に触れていると膜が張らず、薄く広げておくと早く冷えて固まります。触ると冷たく、スプーンの跡が残るくらい固まっていれば冷えています。ここでオーブンを200°Cに予熱しておくと、パイを切っている間に温まります。
- パイを切って焼き始めます。約30×40cmの天板にオーブンペーパーを敷きます。冷凍パイシート(約18×18cmを1枚)を冷凍庫から出して5〜10分おき、ひび割れずに曲がるけれどまだ冷たい状態にします。全体にフォークで穴を開け、焼く前の生のまま切ります。まず半分に切り、次に各半分を横に6等分すると、9×3cmの短冊が12枚できます。短冊を天板に3列×4段で、1.5〜2cmの間隔をあけて並べます。オーブンがまだ200°Cになっていなければ、温まるまで短冊を並べた天板を冷蔵庫に入れておきます。8分焼き、短冊がふくらんで、まだ白っぽいところで止めます。

- パイを押さえて平らに焼きます。天板をオーブンから出し、短冊の上にオーブンペーパーをもう1枚かぶせ、平らな天板をもう1枚のせて軽く押さえます。短冊全体を覆える平らな耐熱皿でも同じ役目を果たします。上の天板をのせたまま200°Cのオーブンに戻して15分焼き、それぞれの短冊が真ん中まで淡いきつね色になり、中央に白い筋が残らなくなるまで焼きます。中心がまだ白ければ、すぐに天板をオーブンに戻して、最大でさらに5分焼きます。重しをして焼いたパイは、薄くて詰まったサクサクの層になり、カスタードホイップをのせても潰れません。
- パイにキャラメリゼをします。上の天板とオーブンペーパーを外し、短冊を裏返して裏面を上にします(裏のほうが平らで均一に色づくためです)。粉砂糖のうち大さじ1(7.5g)を短冊の上に薄く均一にふるい、200°Cで約5分(4〜6分)焼き、砂糖が溶けて透明なツヤのある濃いきつね色のキャラメルになり、白い粉が残らなくなれば完成です。最後の2分はオーブンの前で見守ってください。ツヤのある状態から一気に焦げてしまいますが、このキャラメリゼでパイに色とツヤとキャラメルの風味がつきます。短冊をケーキクーラーに移し、約20分かけて完全に冷まします。

- ホイップクリームを泡立て、カスタードホイップを作ります。別のボウルに冷たい生クリーム100mlと残りの砂糖10gを入れ、ハンドミキサーで角がしっかり立つまで泡立てます。角が立ち、倒れないのが目安です。洗ったボウルに冷えたカスタードクリームを移し、泡立て器でなめらかになるまで混ぜます。ホイップクリームの半量(約55g、山盛り大さじ4杯ほど)を2回に分けて混ぜ込みます。最初の少量でカスタードクリームがゆるみ、残りが泡をつぶさずに混ざります。カスタードホイップがなめらかで、淡い黄色になり、スプーンにのせて形を保つところでやめてください、混ぜすぎるとやわらかくなりすぎて、重ねられなくなります。いちごのヘタを取り、間に挟む用に32切れ、飾り用に半割りを4切れ用意します。中くらいのいちご約10個なら、8個を縦に4等分、2個を半分に切ります。大きければ、32切れになるよう細かく切ります。
- 皿の上で4個分を組み立てます。カスタードホイップを、クリームを挟む層ごとに2さじずつ、16個のほぼ同じ量のスプーンに分けて使います(1さじは約20g、山盛り大さじ1が目安です)。1個分ずつ、短冊1枚をキャラメリゼした面を上にして置き、カスタードホイップを1さじ塗り、いちごを4切れ短冊に沿って1列に並べ、その上からもう1さじをかぶせます。2枚目の短冊をキャラメリゼした面を上にして重ね、同じようにカスタードホイップ、いちご4切れ、カスタードホイップを重ねます。最後に3枚目の短冊を、キャラメリゼした面を上にしてのせます。いちごの両側のカスタードホイップが層をくっつけます。次の短冊が平らにのるよう、いちごの高さはカスタードホイップとそろえ、短冊を軽く押さえたときにクリームが縁まで届いてもはみ出さない量にします。まず上の4枚の短冊に残りの粉砂糖(小さじ1、2.5g)をふるいます。先にふるうのは、ホイップクリームや切ったいちごに粉砂糖がかからないようにするためで、そのあと1個ずつ、ホイップクリームを1さじ(約14g)のせて半割りのいちごを飾ります。組み立てたらすぐに、パイがまだサクサクのうちに食べましょう。

よくある質問
このレシピでは、短冊を重しをして真ん中まで焼き切ります。それが薄くて詰まったサクサクのパイになる理由です。切る前にシート全体にフォークで穴を開けること、オーブンがまだ温まっていなければ切った短冊を200°Cになるまで冷蔵庫に入れておくことが大切です。12枚の短冊を8分焼いたら、オーブンペーパーと天板をもう1枚かぶせて、さらに15分焼きます。真ん中まで淡いきつね色になったら焼き上がりで、中央がまだ白ければ最大でさらに5分焼いてください。キャラメリゼのあとはケーキクーラーで完全に冷まし、カスタードホイップと重ねるのは食べる直前にします。
ゆるいカスタードは、たいてい火から下ろすのが早すぎます。中火で絶えず混ぜながら、とろみがついて大きな泡がはじけるまで炊き、そこからさらに1分火を通してください。泡立て器から糸ではなくぽってりとした塊になって落ちるのが目安です。ダマになるのは、熱い牛乳を一度に卵黄に入れたときなので、少しずつ注ぎ、炊く前に漉して小鍋に戻します。カスタードクリームはラップを表面にぴったりつけて、浅い容器で1時間冷やし、泡立て器でなめらかにほぐします。ホイップクリームは2回に分けて混ぜ込み、混ぜすぎるとカスタードホイップがやわらかくなりすぎて重ねられなくなるので、なめらかになったらすぐにやめます。
ナポレオンパイは組み立てた当日がいちばんサクサクなので、その日のうちに食べるようにしてください。余った分は1個ずつ包み、清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存し、翌日中に食べきります。カスタードとホイップクリームは傷みやすいので、組み立てたものを室温に2時間より長く置かないでください。
このレシピは、約18×18cmの150gの冷凍パイシート1枚を、切る5〜10分前に冷凍庫から出して使う前提です。9×3cmの短冊が12枚でき、3枚重ねのナポレオンパイが4個分になります。20×20cmのシートでもほかを変えずに作れ、同じように切ると短冊は約10×3.3cmになります。もっと大きな成形済みシートなら、約18×18cmの大きさに切り出して使います。ブロックタイプは、袋の表示どおりに解凍してから150gを約18×18cmにのばし、しっかり固まるまで再び冷やして、そこから穴を開けて切ります。
どちらもパイ生地を重ねてバニラ風味のカスタードクリームを挟むお菓子ですが、生地と、組み立てたあとの扱いが違います。日本のナポレオンパイは苺のミルフィーユで、サクサクのパイ生地3枚の間にカスタードクリーム、ホイップクリーム、生のいちごを挟み、パイのサクサク感を保つために食べる直前に組み立てます。ロシアのナポレオン・ケーキは、冷たいバターを粉にすりおろして作る自家製の生地を、薄い層にたくさん焼き、カスタードを塗って一晩冷蔵庫に置き、層にクリームを染み込ませてやわらかくします。一方はサクサク、もう一方は全体がしっとりやわらかい食べ物です。日本でもこの2つの名前は混同されやすく、ナポレオンケーキがロシアのケーキを指すこともあります。
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